サービス
クロスリンクのサービス
クロスリンクが行っている事業は「PA」(Procurement Agentの略称で、「調達代行」と訳されます)と呼ばれ、主にホテル開業プロジェクトにおいて、空間を構成する1万点を超えるアイテムの調達を実行しています。クオリティーを担保するとともに、事業者の立場に立ってコスト管理やスケジュール管理も代行します。プロジェクトに関わる多くの人々との間に立ち、コミュニケーションを行うコンサルタントの役割も担っています。
PAの重要性
アメリカをはじめ欧米諸国では、ホテル開業にあたり、インテリアや備品の選定と調達のプロフェッショナルであるPA会社に依頼することが一般的です。とくに世界的に知られるブランドホテルでは、1万点を超えるモノの調達や、多くのステークホルダーとの交渉をPA会社が担っており、果たす役割が重要視されています。日本ではPAの専門会社はまだ少ないものの、グローバル化が進むにつれてその価値への理解が高まってきています。
PAを利用するメリット
PAは不動産ディベロッパーなどの事業者をクライアントとし、業務委託契約を締結します。クライアント企業の代理として、ブランドを守りながらホテルを運営する運営企業や建築設計会社・インテリアデザイナーとコミュニケーションを取り、プロジェクトを進めます。さらにサプライヤーへの発注窓口も担うことで、全てのアイテムを一元管理することが可能になります。煩雑になりがちな指示系統や業務フローがシンプルになるため、事業者様は雑務から解放され、より本質的な業務に時間を充てることができるのが大きなメリットです。
私たちが目指すのは、特定の価値だけに偏らず、プロジェクト全体の価値を最大化することです。
デザイン視点とビジネス視点の両軸を持ち、下記4点のバランスを取りながら、プロジェクトを成功に導きます。
- 効率的なスケジュール管理
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ホテルプロジェクトは、工事工程、プロジェクト推進状況、デザイン確定状況、製作工程などが日々変わる、複雑な建築工事です。さまざまな要素を一元的に管理することで手戻りを回避し、無駄な資金流出を抑えます。
- 適切な予算確立と管理
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プロジェクト初期段階における適切な予算を確立します。また、デザイン調整で日々発生する予算の増減調整、さまざまな要因によるコスト増などを一元管理することが可能です。
- 品質の設定と確保
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多彩な調達品目の知識を活かし、サプライヤー任せにしない品質管理を実施します。工場出荷時や、搬入時における検査代行も実施し、事業者の予算を守ります。
- クライアント業務の負担軽減
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PA業務の委託効果が最も発揮されるポイントです。3つの効率的な一元管理を通じて、事業者の担当者がより本業に時間を充てることが可能になります。
取り扱いカテゴリと特徴
FF & E (家具・調度関連)
ホテル空間の大部分を占めるFF&E。ほとんどがオーダーメイド品となり、納期や製作プロセスが全く異なる膨大なアイテムがそれぞれのフローで同時進行する、複雑なプロセスの集合体です。設計図書の読込みと理解から始まり、見積もり、製作、納品などの各フェーズで緻密なトラッキングを行い、徹底したスケジュール管理とコスト管理を実行します。
- 家具・調度類
- 特殊照明器具類
- カーペット・ラグ
- カーテン
- サイン
- アートワーク
- スタイリング小物
OS & E (運営備品)
グラスやティッシュボックスなどの客室備品から、バックヤードで使用する清掃用品まで、1点1点アイテムを選定して提案を行い、手配を実行します。
ラグジュアリーホテルなら1部屋で100を超えるアイテム数となり、取引するサプライヤーは数十社に及びます。ホテル引き渡し後は全アイテムを網羅するマスターリストを作成し、修理や追加発注などの際のフォローも行っています。
- 客室・パブリック
家電製品 - 客室用ベッド
- リネン類
- 客室用寝具
- 客室備品
- 食器類
- ワゴン類
- パブリック備品
- 調理器具・備品
- ユニフォーム
- 事務所用家具機器類
- 宴会機材
- 工作備品
- 清掃備品
- 植栽用プランター
- 防火避難具
- フィットネス機器・備品
プロジェクトの流れ
PA業務の流れは、大きく6段階に分けることができます。
各段階において、それぞれ予算の作成や調整、スケジュール管理、各ステークホルダーとのすり合わせを行います。
ラグジュアリーブランドホテルの開業プロジェクトを一例にした一般的なワークフローです。
実際のご依頼時には各プロジェクトの規模や特性に合わせて業務を遂行します。
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プロジェクトを
「見える化」するプロジェクトが始まって最初に行うことは、施設構成や規模、ホテルグレードに合わせてFF&Eおよび OS&Eの大まかな予算を算出することです。大きな枠組みを決め、「このホテルには、何がいくつ必要なのか」といった整理を行い、プロジェクトを具体化します。
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クロスリンクでは、施設構成と目指すべきグレードがわかれば、過去の実績データ等を元に概算をはじき出すことができます。スピーディーでフレキシブルな対応で、プロジェクトの初期段階における重要な土台をつくります。また、デザインの進捗に合わせた予算の見直しも徹底的にお付き合いします。
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モックアップルームの
製作支援フェーズ1で合意した内容をベースに、より確度の高い内容にアップデートしていくために、本番と同じように実寸で作るモックアップルームを1年程度かけて1~2部屋製作します。事業者、運営企業、デザイナー、施工業者はもちろん、エンドユーザーとなる宿泊客の立場からも使い勝手を検証できる貴重な機会です。
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デザイナーが指定したスペックを元にしたFF&Eの見積もり作成や代案提案と、クロスリンク独自の視点によるOS&Eの提案を同時に行います。FF&EやOS&Eに対する各ステークホルダーのコメントは数百項目に及び、ときに相反する要望になることも。私たちは全ての間に立つ者として、予算とクオリティーのバランス、そして何よりプロジェクト全体の最適化を目指して、着地点を見いだします。
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FF & Eサプライヤーの
入札から発注までこのフェーズでは、前フェーズのモックアップルームで合意した具体的なアイテムごとの仕様に沿って、
FF&Eの各アイテムの見積もり作成を各サプライヤーに依頼します。仕様を決定し発注に至るまで、緻密なスケジューリングのもと進めていきます。- クロスリンクがここをサポート
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サプライヤーによる見積もりが予算をオーバーしてしまうことも少なくありません。そのため、必要に応じてVE(バリューエンジニアリング)の提案を行います。逆に、プロジェクトの価値を担保するためにどうしても実現すべきことがあれば、その価値を伝え予算の調整を行うこともあります。
VE(バリューエンジニアリング)とは
製品やサービスの価値を「コスト」や「機能」の面から見直し、両方を改善することによって価値を高めていく手法、および組織的な努力のこと。
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FF & Eの製作管理と
OS & E調達の開始フェーズ1から3まで積み重ねてきたことが形となって現れる、FF&Eの実製作フェーズです。FF&Eはほぼ全てがオーダーメイドとなるため、1アイテムずつ図面を起こすところから始めます。数百に及ぶアイテムの図面やサンプルを、事業者、運営企業、デザイナーがそれぞれの立場で確認し、調整します。
施設構成を元に膨大なOS&E備品のリストを作成し、ホテル側の支配人や各セクションの責任者が着任するタイミングで、OS&Eの調達を本格的に開始します。アイテムごとに納期が異なるため、物決めの順番を意識しながら、運営側への働きかけや見積もりの取得・発注・納品までの工程管理、および予算管理を行います。
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PAは各ステークホルダーの間に立ち、実現したいデザインは崩れていないか、コスト分の価値があるか、メンテナンスはしづらくないかなどの視点で検証を重ねます。サプライヤーと調整した内容、変更箇所などについては、そのやりとりのプロセスも含めてしっかりと記録に残します。
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FF & Eの搬入・据付と
OS & E 選定の最終仕上げ前フェーズで製作したFF&Eについて、どの順番でどんな方法で現場に納品していくのか、搬入計画書を製作し、各施工業者に対して出荷のタイミングの管理と指示を行います。不足品がないか、傷が付いていないか、壊れていないか、デザインや図面通りになっているかなど、各アイテムの綿密な検査を行うのもこのフェーズのポイントです。OS&Eの提案も最終段階となり、さまざまな工事から抜け・漏れを確認して拾い上げ、膨大なアイテムの発注と管理を行います。
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建築工事との調整が必要なFF&Eアイテムも多いため、現場で初めて発覚するエラーも少なくありません。必要があれば、前フェーズまでのやりとりをエビデンスとして示し、交渉を重ねて修正していきます。OS&Eについても、施設の運営企業が意図する運営ができるようにサポートをしながら、空間作りの総仕上げを行います。
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マスターリストの
作成と引き渡しホテル開業後は、クロスリンクが担当したFF&EとOS&Eを網羅するマスターリストを作成して引き渡しを行います。マスターリストは、どこに何をいくつ発注したのか、リピート発注するときや壊れたときにはどこに連絡すればいいのかといった、運営をスムーズに行うためのフォローの役割を果たします。ホテル開業の3ヶ月後を目安に、マスターリストの納品を行い、PA業務は完了となります。